

小松市には、日本海の新鮮な魚介類を味わえる料亭や割烹、寿司屋などがひしめいています。その中でも「お手頃で、うまい!」と一番人気の創作系日本料理店が、“つる○(つるまる)”です。
店内には、大きな天然物のヒラメやハタの泳ぐ水槽。アワビや貝類もドッサリ! おっ、岩魚もいますね。これは、さぞかしお値段も……と思いきや、インタビューに応じてくれた料理長兼専務の安達 雅夫(あだちまさお)さんの手にするメニューからは、とっても嬉しいお値段がのぞいています。
「うちは知人の釣り師から特別に分けてもらう魚が多くて、新鮮な材料・ネタでもお値段はお安くなってます。皆さん、信じられないような顔をされますね」
そう言って安達さんが案内してくれた厨房の冷蔵庫には、今朝揚がったばかりのズワイ蟹やコウバコ蟹が所狭しと並んでいました。
思わず唾を飲み込む筆者。他にも、フグやアンコウなど地物を使った鍋料理も人気で、この取材中も宴会の申し込み電話が引っ切りなしの状況です。
安達さんは、今年で52歳。“つる○”を始めて9年目ですが、以前は地元の鮮魚店で1日数百匹もの活け魚をさばく、包丁人でした。
「私の母親の実家が魚屋でして、縁があって17年間勤めたんです。老舗料理店などに卸すような、上物ばかりを扱っていました。とにかく鮮度、スピードが勝負でしたね。冬は室温を高くすると魚が痛んじゃいますから、大雪の日でも、板場の窓や戸を開けっ放してさばくんですよ。


頭が雪で真っ白になります。手もかじかんできますから、何度切ったことか。体中の血を全部流すぐらい、切りましたね。まあ、だからこそ、包丁が存分に使えるようになったと思います」
なるほど、冬の日本海の美食には大変な苦労が隠されているのですね。
そして驚いたことに、安達さんの料理はあくまで独学で修得したもの。魚を配達しながら、得意先の割烹や寿司屋さんの技を目で学び、料理本を片手に日々実践したとか。もちろん、新たな和風創作料理に向けての自信は充分あったそうです。
巧みな包丁使いに、洋、中華、イタリアン、フレンチなど、独創的なアレンジが加われば、まさに鬼に金棒。“つる○”の人気は、開店3年間でうなぎ登りに急上昇しました。そして4年目には、接待にも使える座敷を取り入れた4階建ての店舗に改築したのです。
しかし、いくら繁盛して忙しくなっても、あくまで自分一人でしか調理しないと言う安達さん。
「誰かに任せると、やはり自分の想いとはズレてしまうんですね。ですから、お客様が100人入ってもすべて自分で段取りしますよ。右手に包丁、左手でフライパン、コンロには鍋。目の前にはタイマーが数珠つなぎってな感じですね。フロアーもうちのカミさんと数人のスタッフだけですから、けっこう大変です」
まさに天才肌というか、常人とは思えないほどの料理への執念です。ちなみに、安達さんの夫人であり、つる○の社長・八重子さんも調理師免許を持ち、出身地の沖縄料理はお店の人気メニューのひとつになっています。
また、息子さんが料理人として一人立ちし、多忙な時には手伝ってくれるそうです。
メインとなるメニューは、¥3,000~¥7,000の創作会席料理コース。
「毎週いらしてくれるお客様も多いですよ。うちでは、一度召し上がったメニューは、次からは出さないように、いつも新しい味覚を楽しんでいただけるように心がけています」
日替わりのランチや寿司膳は、地元の奥様方や若い女性たちに大好評! お昼時は長蛇の列が並ぶそうです。
冬の日本海の幸を狙っているあなた! 今年は小松市の“つる○”、ハズせませんよ~。



