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白鷹株式会社~水・米・技の紹介

宮水・山田錦・生もと造り、その三位一体が珠玉の白鷹を生む

何といっても「宮水」

白鷹の酒造りは、「宮水」にこだわり、「山田錦」にこだわり、「生もと造り」にこだわるといいます。
その酒造りの責任者が、人生の大半を日本酒とともに歩んできたベテラン杜氏・藤井敏和氏。終戦の日の8月15日に姫路に入隊するも、その夜に敗戦を知り、しかし1週間は軍隊に留め置かれたという経歴の持ち主です。
その彼が酒造りに身を置いたのは、昭和15年のことでした。
ひと冬、ある酒蔵で下働きを経験し、敗戦の年の冬から白鷹の門をくぐり、以来、彼は白鷹一筋に歩んできました。
「この灘の地では、何といっても宮水ですね」と、開口一番に藤井杜氏。やはり、西宮にある蔵元の宮水にかける思いには、並々ならぬ ものがあるようです。

藤井 敏和 総杜氏

そこで、宮水とはいったいどのように魅力ある水なのかを、藤井杜氏に訊ねてみました。
「宮水は酒造りに有用なカルシウムやリン、カリウム、クロールなどを豊富に含んだ、純度の高い硬水なんです。ことにリンは、ほかの地方の酒造用水の約10倍、カルシウムも1.5倍含まれていて、このため、モロミがよく立ち、発酵が強く、辛口の酒ができやすくなります。また、香りを悪くする元凶と嫌われる鉄分が極めて少ないのも宮水の特長で、塩分を適度に含み、酒質を高めるために見逃せない数多くの特質を備えた水だということができます」

白鷹では、酒を造る醸造用水から道具の手入れまで、すべて宮水に頼ってきました。
もちろん今も、近代的な安全・安心をモットーにした蔵には、宮水が引き込まれています。
では、なぜこの水が、西宮一帯に湧いているのでしょうか。
これには諸説あって、いまだ定説がないと、藤井総杜氏は答えます。
例えば、伏流水が貝殻の層を通って養分を吸収するためとも聞くし、宮水の滞水砂層は、夙川が押し流してきた六甲山系の風化花崗岩で、粘土などを含みません。

長期にわたり形成された砂層ならば、粘土層や貝殻などの有機物を挟み込むのが普通 なのですが、それが見当たらないというのは、この辺りの砂州が短期間に、いっきに形成されたことを意味します。
調査の結果、この貝殻説は事実無根と判明したのでした。
一方、リンが多いのは、かつて海であった宮水地帯の地下に、死滅し堆積した海草やプランクトンの層を宮水が通 過するためだとの説もあります。しかし、これもまだ定説とはなっていません。
また、表流水である近隣の夙川の水は軟水なのに、どうして宮水だけが硬水なのかの理由も判然としていないのです。
分かっているのは、宮水は法安寺伏流・札場筋伏流・戎伏流という3つの流れがブレンドされたもので、これらの伏流水が宮水地帯に流れ込む前に、種々の成分が付加あるいは除去されて、酒造りに最適の水になるということだけなのです。
このように、灘の酒にとって生命線ともいえる宮水ですが、新たな高速道路や交通 網の整備や建設ラッシュなどによって、その水脈に与える影響が懸念されていきました。このため宮水の水質維持のための規制が厳しく、水路の上流側には建設規制があったり、また宮水地帯を通 る阪神高速の橋げたを、日本一長い65mにするなどの処置も施されています。

特A地区の山田錦 もと摺り

酒造好適米「山田錦」へのこだわりは、白鷹の初代・辰馬悦蔵以来の伝統で、現在も同社では大量 にこの酒造好適米を使用しています。
「山田錦は大粒で芯白があり、磨きやすく、澱粉質に富んでいます。タンパク質が少ない軟質米なので、上質の酒造りには欠かせないのですよ」と藤井杜氏が語るように、“きちっと計算した通 りに、望んでいた酒に仕上がってくれる”ことに最大の利点があるようです。
このため同社のみならず、灘の酒蔵は“村米制度”を採用し、この酒造好適米の確保に腐心しています。
村米制度とは、その村で収穫された山田錦を全量、その酒蔵が買い取るというもので、一種の契約栽培。白鷹では、良質米で知られる六甲山北部の美嚢郡吉川町特A地区の山田錦を、大量 に使用しています。
次に生もと造りへのこだわりですが、これについては藤井杜氏が、あるエピソードを披露してくれました。
「阪神・淡路大震災の時のことです。それまでは生もとだけでなく、速醸仕込みもしていたのですが、あの地震で1カ月はまるで仕事になりませんでした。それでも2月18日の大安の日に酒造りを再開したところ、生もと造りの酒は被害環境に影響されることなく、良い酒に仕上がってくれたのです。それに反して速醸の酒母は、すべてが壊滅状態でした。このことから、その後の純米酒造りは、全量 を生もと造りでいくと決断したのです。ですから当社では、速醸を使った酒造りは、現在、大吟醸のみということになります」
酒母の造り方には、上記のように2つの流儀があります。まずは昔ながらの「生もと造り」であり、今ひとつは、明治になって出現した「速醸」という方法です。
生もと造りは、灘の寒造りを支えた酒母造りが肝心で、身を切るような寒い朝に仕込みをします。麹と蒸米と水を混ぜ、蔵人たちが“もと摺り唄”を口揃えしながら、櫂棒でその原料を摺り潰すのが特徴です。
そこには、薬品など一切使われず、また加熱や殺菌もせず、自然の力によって乳酸やアミノ酸の生成が行われます。完成までは約1カ月を要し(速醸はその半分)、おまけに途中の管理も大変で、気が抜けず、人手もかかり、何より技術力が要求される技法なのです。

「本来の自然の力を使って仕上げるのが、生もと造り。これに比べて速醸による酒母造りは、仕込みの時に出来合いの乳酸、酵母を同時に加え、酒母の速成を促すというもの。今では、ほとんどの蔵元が採用している酒母造りですよ。ソフトな仕上がりですが、ただ、押し味に乏しくなりがちですね」
生もと造りで仕上がった酒は、ハードで喉ごしすっきり。酸が効いて、押し味の強くなることが白鷹の特長だと、藤井総杜氏は自慢します。

押し味の強い酒

「ひと言でまとめるなら、生もと造りは、微生物をものの見事に使う方法だということです。また、摺り潰す麹米には、山田錦が最適だということ。さらには、有用菌の多い宮水はこの技法に不可欠の水です。だから灘の酒造りには、宮水・山田錦・生もと造りの三位 一体が、どう考えてもベストだということです」
白鷹の酒造りは水・米・造りに徹底してこだわったもの、藤井杜氏は最後にこう要約してくれました。