

三原に来たら、何はさておき「タコ料理」と醉心山根本店から紹介されたのが、地元客や出張族に人気の高い、タコ料理専門店「蔵(くら)」。
なるほど、店内の水槽は網に入った大きな真ダコやトレトレの魚でいっぱいです。
「タコは春と秋に産卵するので今は禁猟期間なのですが、私は特別の仕入れ先を持ってますから、今日もいいタコが入ってますよ」
そう言って取材スタッフを迎えてくれたのが、蔵のご主人・森重 光裕(もりしげ
みつひろ)さん。森重さんによると、三原のタコは明石ダコよりも旨味があって、柔らかいそうです。
タコの鮮度は、足を見れば分かるとのこと。まずは見た目のぬめり感、次は拳で叩いてみて、締まった弾力感があるかどうかで判別します。
「やってみますか?」と森重さんに声をかけられた筆者、試しに2匹のタコの足を叩いてみましたが、「なるほど!」と感心するぐらい手ごたえが違うのです。
30種類以上のタコ料理を創作している森重さんですが、料理人としての修行はほとんど独学とのこと。
地元の本郷町で生まれ育ち、工業高校を卒業後、一度は北九州にある鉄工会社の技術系サラリーマンになりましたが、24歳の時に実兄の給食会社へ転職し、企業や厚生施設の宴会場責任者を任されました。
「まったくの素人でスタートしましたが、先輩料理人たちが親切で、手取り足取り教えてくれました。仕事を覚えていくうちに、将来は自分でと思うようになりまして、昭和54年(1979)に32歳でここを始めることになったわけです」
当初は、三原で揚がる新鮮な魚料理で売り出しましたが、お得意様を掴むには何か蔵だけにしかないメニューが必要と、鰻料理、アナゴ料理などいろいろと探求するうち、タコ料理へ行き着いたそうです。
さて、蔵のタコ料理は新鮮さはもちろんですが、ボリュームも満点! しかも、お値段もお手軽とあって連日満員です。
森重さんのイチオシメニューは、「タコセット定食」。¥2,600のお値段とは思えない豪華なお膳には、タコの刺身やタコのたたき、釜でふっくら炊き上げたタコ飯など7品も付いています。
こんなに量があるのなら、女性ペアや右党の諸兄たちには、これ一人前に一品料理を追加して分け合えば、お腹の具合も充分でしょう。
「うちのタコは、ご年配の方でも安心して召し上がって頂けます。先日も、お孫さんといらした女性の方が『歯が悪いので、心配です』とおっしゃってましたが、いざ食べ始めると『ほんとに柔らかくて、おいしいですね』と喜んで頂きました」
インタビューの終わる頃には、店内のお客さんも増え始め、タコ飯の湯気と香りが食欲をそそります。
おっと、忘れてならないのが、醉心特製の蔵オリジナル「ブナのしずく」。新鮮な三原ダコの旨味には、やっぱり旨口の三原の銘酒がピッタリでした。



