

窓辺から望む、波静かな国東の海。水面 にかがよう月の明かりは、美酒「西の関」にふさわしい麗しさです。また、中庭には回遊式の庭園と池をしつらえ、御座敷や廊下の柔らかな木質が素朴に調和しています。
ここ「海喜荘」を訪れた誰もが、大正浪漫あふれるレトロな雰囲気に酔いしれることでしょう。

「当店は、大正時代末期に割烹料亭として始まり、昭和の初めには料理旅館へと様変わりいたしました。おかげさまで80年ほど暖簾を上げさせて頂いております。地元の御贔屓客様や御旅行の皆様など、国東の郷土料理を楽しみにいらして下さいます」
ほのかな灯りの御座敷でインタビューに応じてくれたのが、海喜荘の四代目女将・高野 英子さんです。
一人娘として育った高野さんは、物心ついた頃より「将来は、料理旅館の女将」と周囲からも諭されていましたが、その反面 、自分の可能性をいろいろ試そうと活動するうち、雑誌の表紙モデルにも登場したそうです。
清楚な和装もさながら、朗らかな高野さんの人柄に惚れこんで来る常連客も多いそうです。
さて、海喜荘の自慢は、国東の海のごちそうづくし。朝獲れの新鮮な魚介類をたっぷりと使った料理は、“最高の酒の肴”とも言えるでしょう。
「春はカレイ、夏はスズキとオコゼ、秋は太刀魚やアジ、冬はフグと、四季折々の旬の味を召し上がって頂けます。一番のおすすめ料理は、目の前の海で獲れる瀬蛸(せだこ)です。瀬に隠れている地物の蛸を丸ごと茹でたもので、その歯ごたえと旨味は『一度食べたら忘れられない味!』と皆様おっしゃいます」
その時、高野さんの説明を待っていたかのように、大きな朱塗りの椀が登場。ギョッとする筆者とカメラマンの前で蓋が取られると、大きなタコが鉢巻をして座り、その脇には紅く茹ったワタリガニが並んでいます。この豪華な一品が、海喜荘の看板料理「五右衛門椀(ごえもんわん)」でした。 「国東の魚料理は濃い口のお醤油味で、西の関さんのお酒にピッタリなんです。お客様にも好評で、とっても有りがたいことです」 そんな高野さん自身も大の「西の関」ファンで、お客様とは日本酒談義に花が咲くそうです。 一泊二食の料金は¥12,000より、ビジネス向けのプランは¥10,000から用意されています。また、昼食、夕食のみもOKです。 一年を通じて、国東の美味と美酒を堪能できる老舗旅館「海喜荘」。ゆったりと宿泊滞在すれば、心身の癒しになることまちがいなしでしょう。

