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梅錦山川株式会社 ~蔵主紹介

梅錦山川株式会社の代表取締役である山川 浩一郎 社長は、名立たる蔵元の中でも、ひときわ個性的な容貌と開明的な論旨を持つ人。一度お逢いすれば、誰の記憶にも、その印象は色濃く残るはずです。
「以前、私がアメリカによく行っていました時、現地の方から“ジャパニーズ・マフィア”なんて愛称を頂きましてね(笑)」
山川 社長から頂いた名刺には、ボルサリーノを被ったユニークな顔イラストが描かれていました。
その出で立ちでニューヨークを闊歩したのは、今から20年前とのこと。
日本食や寿司ブームの火種が起こり始めた頃ですが、まだ日本酒はわずかな銘柄しか見受けられなかったそうです。つまり、グローバルスタンダードの魁となるべく、気脈の通じ合う蔵元たちとアメリカに乗り込んだわけです。
のっけからの、トリビアな話題。これを聞き逃す手はないでしょう。しばし、当時の思い出話を聞かせて頂きましょう。

「本格的な日本料理はホテルにしかなく、一人当たり200ドルと高価でしたし、今ほどヘルシー食としてはブームになっていませんでした。ですから、日本酒ニーズはまだ“夜明け前”といった観がありました。ところが、徐々に40ドルほどで楽しめる低価格の和食系居酒屋が増え始めて、いわゆるフュージョン系の模倣的な日本食が登場するんです。その経営者は中国や韓国系の方が多く、それまでの日本人経営者と日本人スタッフによる形が崩れていきました。当然、地酒はさほど伸びず、大手ブランドが中心。しかし、10年前頃からITビジネスなどの成功により、若いエグゼクティブが本物の和食に関心を持ち始めたため、ブームが再燃してきました。今度は正真正銘の高級日本食が人気となっていまして、そこには当然、本物の日本酒も求められ、我々の出番となってきたわけです」
最近は200種を越える銘柄がアメリカに渡っている時代だが、輸出量としては韓国など、アジアの方が急増していると山川社長は解説します。
小躍りしそうな海外の日本酒好調の話題ですが、逆に国内の現状にはいささか嘆息してしまうこの頃。その打開案などについて、山川社長に聞いてみたくなりました。

今や、海外でも愛飲されている梅錦。その味わいと品質を吟味・革新し続けているのが、山川社長です。
昭和38年(1963)広島大学工学部発酵工学科を卒業。その後、国税局醸造試験場に入り、熊本国税局、高松国税局に勤務した後、山川酒造合資会社へ入社しました。
つまり、山川社長は元・大蔵省国税局の鑑定官。蔵元であり、トップクラスの技術者なのです。吟醸造りと純米主義に徹底してこだわる、梅錦の姿勢が納得できます。
そんな山川社長は国内での日本酒消費の減少をどう捉え、どんな対策を考えているのかと訊ねてみると、明快な答えが返ってきました。

「単刀直入に言えば、宴会やパーティなど大量に酒が飲まれてきた場で、日本酒消費が減っていますね。そこでは、何となく連れ合いが日本酒を飲まないから、付和雷同して、自分も飲まないという現象が起こっている。ウェイターに注文して、待ってまで無理に飲もうとしないのは、コンビニ時代の心理かも知れませんね。飲酒運転の規制強化も、かなり影響しているでしょう。一方、家庭や居酒屋での飲用はどうかと言うと、やはり低価格のアルコール類が飲まれる。それに清酒の国内消費量の70%は、いわゆる経済酒。つまり、紙パックの液化仕込みの酒ですね。しかし、それをしない我が社のような吟醸造りと純米主義を掲げている蔵元が、できるだけリーズナブルな経済酒をテーマにすると、必ず行き着くところは原料価格の問題でして、ここに清酒業界の抜け切れない呪縛が存在しているようです。例えば、外食産業では安い輸入米が多く使われています。それじゃあ、外国産の米で丁寧に吟醸造りをした酒があったらどうでしょう?」
山川社長は、筆者に問い返します。

なるほど、工程は同じでも原料価格を下げることが可能なら、今より安い吟醸酒や純米酒はできるはず。そして、今日の各蔵元の高い品質レベルから推察すれば、そこそこ遜色のない酒ができ上がる気もします。
本来、“革新”とはそういう既成概念を変えていくところから芽生えるもの。“不易流行”から見ても、山川社長の論旨は的を得たものでしょう。
「ところが、梅錦だけでなく、どこの蔵元も手をこまねいてしまう。それは日本酒にとって本当に良いことなのか、正しいのか、価値があるのかなど業界内のタブーのような感覚でしょうか、そこから抜け切れないんですね。消費者からはある程度、支持を得る気がするのですが、こう言ってる私もなかなか動けずにいます(笑)。それでも今後の10年、20年の国内市場を見据えれば、日本酒が売れるかどうか鍵を握るのは技術革新と低価格だと思いますね」
理屈は分かっているけど、踏み出せない。コストパフォーマンスを追及すればするほど、原料価格は、蔵元のジレンマになってしまうと語る山川 社長。
ただし、この課題には関税問題や国としての取り組み方など、業界全体として乗り越えるべきハードルがいくつかあると指摘します。

梅錦の力は、技術を背景にした高度な商品開発力と営々として築き上げてきたブランドロイヤリティにあります。そこに立脚し、時代が変わろうとも、地酒の蔵元としての価値と誇りを矜持して、美味しい酒を造っていきたいと山川社長は語ります。
しかし今、梅錦山川株式会社と同じようにブランドロイヤリティを持つ蔵元も、難局に直面しています。では、各社とも次なるブランドを立ち上げ、ヒットさせることができるかと問えば、かつてのように容易ではないと指摘します。
「昨今、地方酒で成功しているブランドは、他社が真似できない、その蔵元にしかできない独創的なマーケティングを展開していますね。それは、流通チャネルや商品ジャンルを改善することのように簡単ではありません。私もマーケティング手法をいろいろ検討してきましたが、旧来と異なる斬新な形でなければ、ブランドメイクは成功しないでしょう。ただ、その独自性が消費者に分かり難くてもダメですね。分かりやすい差別化がポイントなのですが、これが非常に難しいのです」
技術革新か、値段か、マーケティングか。この3つの内どれかに成功した蔵元は、光明が見えるのではと、山川社長は付け加えます。

現代の日本酒は、品質・味わいともに、かつてないほど美味しくなったと言えましょう。
食生活の多様化やグルメ志向も、大きく影響しています。それらに肩をならべるかのように、さまざまなアルコール群が生活者の目前に並ぶ毎日。つまり日本酒は、あふれる食品の中の一選択肢になったと言っても、過言ではないでしょう。
しかし、そこから選ばれ続ける梅錦の酒に、筆者はある意味、日本酒の魅力を再発見することができると思います。

「梅錦はおいしい! とおっしゃって下さる方に、ずっと飲んで頂けること。これが変わることのない基本ですよ」
熱っぽく締めくくってくれた山川社長。その言葉を具現化した梅錦の銘酒は数々ありますが、近年、話題をさらっているのが「梅錦 純米大吟醸カップ」です。
“日本酒チャンピオンズ・カップ2006”に出品された127社233点のカップ酒の中で、グランプリを獲得! 日本酒専門家の目隠し試飲による1次審査、グランプリ選考会での一般試飲と審査において、最高点を獲得しています。
カップ酒ブームはいささか定着したものの、この純米大吟醸カップは根強い人気で、まさに山川社長の言う“3つのヒット条件”を満たす商品でしょう。
そのユニークな美酒をききつつ、インタビューを終えることとしましょう。