これでいいのか!女性に左右される男性の飲酒嗜好。

解体新書 第10回

リードするのは、女性に変わってしまったのか。

さて今回は、前回に引き続いて若い女性の飲酒動向です。

6~8年前と違い少人数で飲みに行くようになってきたこと。そのお店の選択権は女性にあり、男性には、財布を握ってアトを付いて行く権利しかないこと。選ぶお店には傾向的な特徴は少なく、でも必ず一つは何かの特徴を持っていること。 以上のようなポイントが、前回までの論旨でした。

では行くお店の決定権を持っている女性は、どうやってお店を選んでいるのでしょうか。 グルメ雑誌などがスグに思い付きますがそれだけではないようですし、それに踊らされるほど甘い人達でもありません。 そこで、もう少し彼女たちの消費動向を探ってみましょう。

待つことに納得する男性と、待たすことが当然の女性。

さて、前回の話で先頭を切って歩いていたA子さん。

男性陣を待たせて最後に登場した割には、残業で遅くなった風でもなく、上気した顔で颯爽と歩いています。
実は彼女、終業時刻ピッタリに会社を出て、前の彼氏とワインなぞを軽く一杯すませて来ています。
待ち合わせていた男性陣には「チョット遅くなるから‥」なんてケータイで連絡済なので悪びれた風でもありません。
それどころか前の週の待ち合わせの時などは、マエ彼に急用が出来たのをいいことに会社の上司にオネダリして、以前から目をつけていた新しいお店の探索をしてから、平然と集合場所に!

自分の目的のためなら男性陣を待たせていても平気なA子さんを、イマ彼やコンド彼を目指している男性陣は、首を長くして待ってます。
そんなに待たせられるのならばドッカの店に先に行っておけば良いのに、アトから「こんな店じゃ……」と、へじゃこじゃ言われるのが嫌な男性陣は、大人しく待っているわけです。
A子さんの方も「どーせ行くなら気に入った店」を譲らず、男性陣にお店の選択権を渡すことなく平気で待たせています。男性陣の選ぶお店なんかロクなもんじゃないと、高をくくっているのです。

ジントニックしか言えない、今の男性たち。

こんな最近の女性優位性を物語るネタに、「ジントニック」があります。実は、カクテルの人気ランキングで一位なのは殆どの場合、ジントニックです。
でもグルメ雑誌などを見る限り、ジントニックに圧倒的な人気があるとは思えません。
何故だか分かりますか?
実は先程のA子さん。前の週に会社の上司を使って探索に行った店がチョットいい感じのショットバーで、「ガキが行くには無理があるものの、不倫しないと連れて行ってもらえない程の店」でもなくってヤツで「丁度よく落ち着いた」ショットバーでした。
その時の様子は……

「ワァー、素敵ですねぇ」とA子さん。 自分から仕組んでその店に来たのに、「部長、良く御存知ですねぇ」なんて言ってます。 「こんなトコ初めてです。ワタシ」とか「夢だったんですよぉー、こーゆートコで飲むの」などと、聞いてる方が恥ずかしくなるくらい奥床しい口調です。

しかし、「何になさいますか?」と問われれば、聞いたことも無いカクテル名をツラツラっと2~3個ならべます。 横で聞いてた部長さん。「そりゃ何だ?」と口ごもったまま座っていると、バーテンダーから「お客様は?」と聞かれ、何か別のものを言おうとはするのですが、 出てくる言葉は「ジントニック」。要するに知らないんですね、他に。 知ったかぶろうとするものの、知らないものは仕方ない。「まあ、いいや」と済ませちゃう。会社の仕事だって、上司の顔色を気にして、とりあえず迎合しちゃう。 そんな日々の主体性のなさが、この「ジントニック」なのではないでしょうか。

ジントニックしか言えない、今の男性たち。

このように知ったかぶりの酒の文化が流布するようになって来ますと、情報通の若い人たちは、本当に美味しいと感じるかどうかよりも「自分しか知らない」ことが優先され、自分の主義主張ではなく「名前」に踊らされるようになってきます。グルメ雑誌などを見るのも、「誰も知らない隠れた銘酒」なんて特集が売られていると、スグに買ってせっせと「名前」を覚えますが、何時の間にか「名前」だけ覚えて、一体全体そのお酒はどんなお酒だったのか、もっと言えば自分はどんなお酒が好きだったのかが自分で分からなくなってきます。

ついさっきまで自分の選んだお酒について講釈たれていたA子さんに、「で、キミはどういうタイプの味が好きなの?」と聞きます。返事は、「何でもいいじゃん。とりあえず場に合う酒なら。」

ならば今風のオピニオンリーダーたる若い女性に受けようとすれば、場に合えば良いのかとなると、これが一概には言えません。ワインから入って地酒に興味を持った女性などは、酒蔵が驚くような的確な味覚表現をします。A子さんみたいな人ばかりではありません。若い女性の中でも日本酒にこだわる人たちが、地酒の牽引者となっている場合も多いのです。その代表としてB子さん。「楚々としたノンベ」なのですが、お酒を選ぶ目は確かで、自分の好みのお酒を見極める能力も自分の好みとは違う味のお酒の評価も的確です。A子さんとB子さんの違い(差)は何からくるのでしょうか。ワイン、レンジ食品、お袋の味、地域文化などがキーワードになりそうです。次回はそのB子さんの場合です。