TOP > バックナンバーコンテンツ > 歳時記(第7回)

大吟醸酒とは精米歩合50%以下の酒米を使用した日本酒。醸造アルコールを用いた「本醸造系」と、米の旨みを生かした「純米系」に分けられます。精米歩合60%以下の吟醸酒に比べると、米の芯に近いところを使うので、味わいはよりフルーティで香りも華やか。蔵人の力を結集し、最高の酒米を極限まで磨き上げて作るため、数量を限定して生産する蔵元も多く、その希少性の高さと味のレベルの高さから”地酒の最高峰”とも言われています。
「大吟醸酒は非常に香りが華やかなお酒。日本酒がお好きな方でも、毎日のように飲むものではありません。ちょっと特別な時にいただき、味と香りをじっくりと楽しみながら飲むからこそ、そのおいしさが際立つのだと思います」と料理長の建守さん。大吟醸酒は酒米を半分以下にまで磨き上げて作る贅沢なお酒。だからこそ新年を祝う席に最も相応しいといえます。「このお酒に合わせる料理は、ストレートな和食というよりはそこからちょっとアレンジした創作料理がおすすめ。どちらかというとワインにも合うようなメニューをイメージするといいかもしれません」。今回ご紹介するメニューのなかには、黒トリュフやブルーチーズなどの食材が使われ、いつもとは違う<特別感>があります。「年の始まりの前向きな気持ちを後押ししてくれる。そんな魅力を備えているのが大吟醸酒。ひと味違う肴とともに味わい、いいスタートをきってほしいですね」。

しっとりとした肉の質感と艶やかな色に心奪われる和牛のたたき。埼玉県産の上質な和牛を使い、さっぱりと仕上げたひと皿です。牛肉は頃合のいいところまで表面を焼いて薄くスライス。ここにかけるのが特製のオレンジポン酢。ポン酢にオレンジのスライスを漬け込むため、通常のポン酢よりもまろやかでやさしい酸味になります。玉ねぎ、貝割れ菜などの野菜とともにいただけば、肉の柔らかさと野菜の歯ざわりを一緒に楽しむことができます。

うまみが濃厚で甘みのある脂が特徴の岩手の地豚「岩中地豚」。余計な手を加えず、シンプルに塩焼きにするのが、この豚肉をおいしくいただく最高の調理法。ということであえてそのまま炭火焼きにしています。しかし塩だけではなく、黒トリュフ塩をふって焼くことで、驚くほど香りよくグレードアップした味わいに。大吟醸の香りとともに食せば、自然の持つ香りと味わいの深さを実感せずにはいられません。

ブルーチーズと味噌? そのあまりに斬新な組み合わせにまずは驚くかと思いますが、濃厚でまろやかな香りは、食欲を一気に刺激します。オーブンで玉ねぎをそのまま焼き、その横で特製の甘味噌とブルーチーズを混ぜたソースを香ばしくなるまで温め、玉ねぎを皿に盛ってソースをかけたら完成。甘みを増した玉ねぎにこのソースが絡み、塩けと旨みが加わることで、抜群のおいしさになるのです。ブルーチーズ特有のくせも味噌によってマイルドな味わいになっています。

東京、オランダのホテルオークラなどでシェフを経験し、和食にたずさわること13年。日本酒とともに歩んできた建守さんはこう言います。「地酒を語るには、やはりその土地の郷土料理は欠かせません。ここ日本橋はその昔、全国の食材が集まってきた場所。各地で愛されるおいしい酒と食を、もう一度ここから発信していきたい。そして、地酒と郷土料理を味わいながら、日本中をまるで旅する気分で楽しんでもらえるとうれしいです」。
江戸時代、旅のはじまりとなったこの地は、400年の時を経たいま、美食の発信地としてにぎわいを見せています。
※歳時記で紹介している"肴"と"地酒"は期間中のみニホンバシイチノイチノイチで味わえます。