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地酒の用語集

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  • 地酒用語集
 読者の皆さん、初めまして。私は、この一人旅エッセイの主人公・海野 太郎。
 東京都在住・45歳・既婚・妻と娘と息子の4人家族という、ごくありきたりなサラリーマン。子どもたちも十代後半を迎え、そろそろ“オヤジ”と呼ばれる年齢になった気がしている。
 実は最近、私がハマッているのは「夏の一人旅」。リュックを背負って海辺や山里を訪ねる小旅行で、自分の知らなかった日本に出会い、しみじみと旅ロマンにひたっている。
 日常を忘れさせてくれる美しい風景、土地の歴史・文化にまつわるストーリー、地元の人たちの温かくさりげない心、予期しなかったハプニングや新しい発見……きままな旅の出来事は、ふと忘れかけていた思い出や懐かしい記憶も甦らせてくれるのだ。
 今回はそんな魅力にあふれた夏の一人旅を紹介し、読者の皆さんにも自分探しの楽しみを持ってもらえればと願っている。
 それでは、ペンを進めていくことにしよう。
 私はこの一人旅を始める前に、基本スタイルを考えた。まず自分の足で移動すること。つまり、自動車は使わない旅だ。
 以前は、夏になると子どもたちにせがまれワゴン車で海・山へキャンプに出かけたが、あちこちへ走ったにも関わらず、その道のりを意外に記憶していない。
 原因は、車窓の風景を目にする余裕がないため。そして、自分自身の足で移動していないためだと思う。東京の町中でも2、3の駅間を歩いてみれば、いつもとちがった発見があるものだ。
 今回、私は目的地まで列車を乗り継ぐことにしたが、ここで問題が発生。元々、一人旅に反対していたカミさんから「電車だと、よけいに高くなるんじゃないの!?」とクレームが付いたのだった。
 特急・急行列車を使えば、むろん料金はかさむ。うちの車は低燃費だが、所有権はほとんどカミさんの手にある。この局面を乗り越えねば、早々と計画倒れに陥りそうだった。
 だが、小遣いを貯めてもいない私に、カミさんの口撃をくつがえす術は見当たらないのである。
 そこで、苦肉の策として選んだのが、普通列車の乗り継ぎ旅だ。接続の都合で限界はあるが、乗り継ぎダイヤを熟知さえすれば、そこそこ離れた土地に辿り着くことは可能だ。
 それに本来の目的である“訪れたことのない土地の発見と感動”には、距離の遠い近いはさほど関係しない。
 さらには、夏場の旅は暑くて疲れやすく、その点から1泊2日の行程としたが、普通列車の旅としても都合が良い。むしろオヤジの青春回帰には、ふさわしい手段ではないか。などと言い訳しつつ、ともあれ念願の自分探しの旅はようやく始まったのだった。
 各駅停車作戦でカミさんを納得させた私は、週末の1泊2日の間で、可能な限り遠くへ旅することにした。
 さっそく今回の一人旅の目的、メインテーマを決める。夏の海を大好きな私が選んだテーマは、「潮騒を聴きつつ、月光に癒やされる旅」。これは、いまだ経験したことがない旅ロマンである。
 太平洋の波が寄せる海辺で、寝袋にくるまって、月明かりを浴びる。そこには都会の無機質な喧騒はまったく聞こえず、有機的な自然のメロディー、神秘的な海からのメッセージだけが漂ってくるのだ。
 非日常なそのシーンを想像するだけでワクワクとし、胸が高鳴ってくるではないか。
 ちなみに山好きの人なら、満天の星を見上げつつ、流星探しなどいかがなものだろう。
 まずは天候をチェックだ。週間予報で調べたところ、その日は太平洋側なら静岡県伊豆方面が最も快晴を向かえるもようだ。
「伊豆!」とつぶやいた瞬間、脳裡にひらめいたのは「温泉!」だった。天然温泉や秘湯につかるのも、旅の醍醐味だ。ましてや伊豆半島は、日本屈指の温泉地。これを見逃す手はなかろう。
 こうしてサブテーマも見つかったので、いよいよ旅先を絞り込む。
 最終的に選んだのは、静岡県賀茂郡東伊豆町。インターネットで調べてみると、黒潮が洗う伊豆半島の東側。近辺には著名な熱川温泉、穴場の北川(ほっかわ)温泉など6つの名湯があって、漁港と湯の郷として知られているようだ。
 ルートとしては、東京駅を午前8時台のJR快速列車・アクティ-で出発。小田原駅で東海道本線へ乗り換え、伊東方面へ向かう。そして、伊東駅から伊豆急行線に乗り継いで、伊豆北川駅へ着くのは約3時間後。男の手弁当と車窓の風景を満喫できる、ほど良い時間となりそうだ。
 現地は新鮮な魚介類の本場らしく、思わず唾が湧いてくる。うまい酒を持参して、干物を肴に月見で一盃! といきたいものだ。
 翌朝は足の向くまま気の向くまま、偶然とハプニングの旅を期待するとしよう。
 そうそう、夏は海・山とも天候は変わりやすいから、必ずテントを持参したい。シンプルな一人用で、素材の軽い製品を探すとしよう。
 行き先の歴史・文化を探ってみることは、一人旅の好奇心をかきたててくれる。
 自分が立っている何の変哲もない場所に、数百年前、偉大な人物が佇んでいたと思うだけで、冒険少年に戻った心は昂ぶってくるはずだ。
 目の前に立つ1本の大木がそんな悠久の時の流れを見つめていたのだと、思わず胸を熱くする。ちょっとキザだけど、旅のルポライター気分にひたってみるのもいいもんだ。
 そんな下準備には、旅のガイドブックやインターネットよりも、地元に関係する一冊の歴史小説を選んだ。ありきたりなスポット紹介よりも物語に綴られた風土や文化を知れば、旅の発見と感動はますますふくらむものだ。
 今回の伊豆は源頼朝、義経ゆかりの地。おのずと源平の時代物語に手が伸びていた。
 そして、小さなスケッチブックと絵具セット。人気のデジタルカメラは便利だけど、今回の旅は、少年時代に好きだったイラストで記憶に残したいと思う。
 一人旅はできる限りの軽装で出かけたいが、便利なスグレモノもいくつか持って行きたい。それらは便利グッズでも高価なアイテムでもなく、本来の用途はありきたりな物ばかりだ。
 まずは500ml入りのペットボトルを2本。その1本には、お気に入りの酒を入れて行く。今回、魚のうまい町に行く私は、もちろんお気に入りの日本酒を詰めた。もう一本には、清涼水だ。旅先までの喉を潤し、酒のチェイサーにも使える。
 空になったボトルだって、捨てちゃいけない。自然豊かな旅先を訪れると、地元の人たちが飲んでいる湧き水や天然水を発見することがある。これをペットボトルに詰めて旅の友にすれば、きままな一人旅ムードもさらに盛り上がりそうだ。
 出発前夜に、行政や地元市町村、観光案内のホームページで名水を探す手もあるだろう。(環境庁選定 名水百選など:http://mizu.nies.go.jp/meisui/)
 水やジュースの紙パックも、驚くべき裏ワザを発揮する。紙パックを、小鍋に早変わりさせてみよう。
 空になった紙パックを開き、水を入れて火にかければ、驚くなかれ沸騰するのだ。
 理由は水が接しているところは摂氏100℃以上にはならないという原理だが、沸騰後はすぐに火を消さないとアウト。それでもアウトドア用の簡単なコンロがあれば、いつでも湯を沸かせるわけだ。
 こんなアウトドアのテクニックを用いた小ワザ、裏ワザも、夏の一人旅を楽しむアイデアになるだろう。