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地酒の用語集

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  • 地酒用語集

じっくりと燃える赤い炎、パチパチとはぜる音、漂う香ばしい匂い。炭火は生きているかのように、不思議な魅力を感じさせます。
しんしんと冷える冬に炭火を囲めば、グルメな日本酒つうは炉端焼きや七輪料理が恋しくなり、ロマンチックな地酒ファンなら鄙びた山里の囲炉裏を思い浮かべることでしょう。
日本人に生まれてよかった! そんな感動をおぼえる、炭火と囲炉裏の特集をお楽しみ下さい。

今、七輪や囲炉裏を使った炭火料理が人気です。焼肉やホルモンといった定番の炭焼きだけでなく、魚介類や干物を炙って食べるスタイルの居酒屋も登場してきました。
その理由は、どうやら炭火が創り出す楽しさと美味しさにあるようです。
数年前までの炭火料理は、備長炭を使った焼き鳥や鰻などプロの技として見られていました。ところが、アウトドアブームで手軽に炭火が扱えるようになったこと、上質の炭がインターネットなどで誰でも簡単に購入できるようになったことから、自分たちで火を起こしながら、焼く、炙る、煮ると、自由に楽しむ料理が新しいトレンドになってきました。
一時はもうもうとした煙の中で食べるのを敬遠する人が多かったようですが、昨今の料理店では煙を吸い込んでくれる七輪もあって、女性客に人気を呼んでいるようです。
そして、じわじわと食材の芯まで火を通 しながら、外側をパリッと焼き上げ、その旨味を逃がさないという「遠赤外線」効果 も炭火料理の魅力。いつもの肉や魚が、なぜか美味しく感じてしまいます。
さらに、燻した匂いも見逃せません。炭本来の香りだけでなく、食材の脂が落ちて煙が発生すると、これがさらにうまい味付けをしてくれるのです。
炭火独特のスモークフレーバーが、いっそうの食欲をそそるわけです。

日本人のそばに炭火はいつ頃からあったのかと言うと、遥かな縄文時代から作られていました。森林火災によって、偶然発見されたと言われています。ですから、山国と炭の縁はとっても深いわけですね。
炭が常用されるようになると、窯を使った炭焼き小屋が生まれました。以来、二千年もの間、炭は大切な燃料として使われます。典型的な生活道具としてどこの家にも火鉢がありましたが、明治時代には木炭が石炭に取って替わられます。
ですから、昔は炭屋という商売がれっきとして成り立っていたわけです。今でも、炭屋の屋号を持っている老舗の商店があります。
それでも雪深い里には、暖を取る手段として、囲炉裏の炭火を使う家が残っています。 世界遺産に指定された、岐阜県白川郷の合掌造りなどがそうですね。
囲炉裏の炭火を囲む暮しの中には、その土地ならではのルールや礼儀、決まりごとがありました。毎朝の火の神様への感謝、節句などの祭儀、家長の座る場所、料理に箸をつける順番、酒を酌み交わす時のルールなどを大切に守っていたのです。
例えば、白川郷では一軒の家に家長、兄弟、使用人家族など、数十人が暮らしていました。それは土地が狭くて分家できなかったことや、養蚕業が寝る間もないぐらい忙しく、労働力が必要だったからです。「オエ」と呼ばれる居間の囲炉裏を囲んで、家長が奥、台所に近い位 置が女性、その向かいに男たち、玄関側には子供たちが座ったそうです。
そんな日本各地の暮し方、文化や習慣を、炭火はずっと見続けていました。
いわば、家の守り神のような存在だったわけです。

囲炉裏……その言葉には、どことなくあったかくて、ほのぼのした響きがあります。
旅先でなくても、都会のちょっと趣向をこらした料理店で囲炉裏風の膳の前にあぐらをかくと、気分がほっとなごんできます。
その秘密は、飴色の木肌やしっとりとした木目にあるようですね。
白木のテーブルやカウンターに比べると深い味わいがあり、酒も料理もじっくりと楽しみたくなります。
囲炉裏で炭を焚いている合掌造りの家は、この艶やかな色に包まれています。
その理由は、炭火で家の中をまんべんなく燻すことにあります。
1階の囲炉裏の煙は2階へ昇り、床の隙間を抜けて、茅葺き屋根から外へ出るようになっています。煙には、茅や梁など木材を燻して害虫や腐りから家を守る効果 があるのです。さらに煙とホコリが密着すると、雨漏りを止める防水効果 もありました。このため、囲炉裏の火を毎日欠かしませんでした。
都会の郊外には、古民家を造り直した料理店などもありますね。そんな場所を訪れた時に、ぜひ炭火を使った暮しの文化、囲炉裏の名残りなどを楽しんでみましょう。

炭が身近になり、いろいろな道具も手に入ることで、家庭でも炭火や囲炉裏を楽しむ方が増えてきました。実は炭にできる木材はかなり多いのですが、その中でも上質の炭になるのは、コナラ、ミズナラ、クヌギ、シラカシ、アカガシ、イチイガシ、ウバメガシ、ケヤキなどです。せっかく炭火料理を楽しむなら、木材にもこだわってみましょう。
家庭で使用する場合は、煙の多いアウトドア用の炭よりも「備長炭」をオススメします。
備長炭は、最高級の炭として知られていますね。和歌山県の南部で作られる備長炭は、ウバメガシの原木を主として独特の土窯で製造されます。
白炭ならではの白っぽい色をしていて、金属のような光沢があり、叩くとチンチンと澄んだ音がします。火力が強く、火持ちが長く、火加減の調整がとても簡単。世界でも類がない硬い炭で、昭和49年からは和歌県の無形文化財に指定されているそうです。
しかし、最近は海外製品など「備長炭もどき」がたくさんあるようです。購入の際に、きちんと「紀州産備長炭」であることをチェックした方がよいでしょう。
一方、黒炭の最高級品として知られるのが、大阪の能勢地方に伝わる「菊炭」です。この炭は火力が安定し、燃焼性もバツグン。あの豊臣秀吉が茶の湯用の高級炭として使っていました。クヌギの木を使った炭で、切り口が菊の花のように見えるので菊炭と呼ばれています。これは、アウトドアのバーベキューなどで使えそうです。
しかし、この両者を超えると言われる炭が、昔あったそうです。
それが「ナナカマド」。冬になると赤い実を付けるバラ科の木で、語源がとってもユニーク。通 常の炭は5日間で仕上がるが、この炭は7日かけてカマドで作るので火持ちが素晴らしかったそうです。
他にも全国にはいろいろな炭があります。あなたの地元の、希少な炭を探してみませんか。

味わいのある炭火を楽しむ道具に、鉄の鍋があります。
よく知られているのが南部(なんぶ)鉄と呼ばれる丈夫な手作りの鍋で、青森県の名産品。炭火を囲む鍋料理に、ぜひオススメしたい逸品の鍋です。町の料理店にも、この鉄鍋を出すところが増えてきましたね。
炭火を上手に楽しむコツは、料理だけとは限りません。
日本酒ファンには、「炭火で、お燗」というとっておきの活用方法があります。
鉄瓶の湯せんで燗をすれば、いつもの酒燗器やレンジでチン!とちがって、ぐっと美味しく感じます。ちょっとイキな火鉢で燗すれば、気分はすっかり風流人。和服で一杯! なんてのもオツな雰囲気ですね。
そして、火箸や灰起こしなどの小物も脇役にもってこい。こんな「火の用心」をモチーフにしたアイテムなら、酒座のネタにも使えそうです。
炭火を楽しむあの店この店! お家で七輪料理!
この冬、あったかいお燗酒とともに、じっくり楽しんでみませんか。