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冬は、地酒ファンの待ちに待った季節。華やかな香りの新酒、プチプチとした口当たりの生原酒などを飲みつつ、「やっぱり、日本酒って最高! 日本に生まれて良かった!」と思わず頬がゆるみます。
そんな地酒ファンの方なら、ぜひ一度、酒造り真っ最中の蔵元を見学してみましょう。
目の前で繰り広がるリアルな酒造りシーン、蔵元さんや杜氏さんとの出会い、驚きと感動のハプニングは、あなたにとってもう1つの地酒ワールドとなるでしょう。
また、いつもの料理店や晩酌で飲む地酒よりも、ひと味もふた味も美味しい“できたての味”、“蔵元限定の美酒”をGETできるのです。
ここでは、そんな蔵元見学の見どころや体験ポイントをご案内しましょう。
近くても遠くても、蔵元までの行程は列車、バスで行くのがベストです。電車の窓からの冬景色に、「あの酒蔵へ行ける!」、「あの杜氏さんに会える!」、「搾り立ての原酒が待っている!」など、ひと味ちがう期待と興奮が湧いてくるでしょう。
遠隔地の蔵元への一人旅なら、夜行列車がオススメです。コトコトと寝台に揺られながら昔の時代を思えば、蔵元への旅の感動がこみ上げてくるはず。早朝の駅は冷え込んでいますが、蔵元では、もう酒造りを始めている時間なのです。駅のホームで吐き出す白い息に、はるばると憧れの蔵元へ来たことを実感できるはずです。
それに、蔵元では出来立ての酒が何よりの楽しみです。自動車で行けば、誰かが飲むのを我慢しなければなりません。せっかく地酒ファン同士で行くのであれば、気持ち良く、安心して楽しめる蔵元見学にしましょう。
見学の受入時刻は、どこの蔵元も9:30~10:00頃となっているようです。
前日から現地に宿泊しているなら、散歩がてら町を散策してみましょう。雪景色に包まれる古い家並みや電柱に吊るされた銘酒の看板に、ノスタルジックな気分を満喫できます。
また、蔵元のある町には「朝市」が立つ所も多くあります。蔵元でお土産に買うであろう「限定酒」や「搾り立て酒」の肴に、干物や朝取り野菜などを買ってみてはいかがでしょう。地元の“おかあちゃん”たちとの楽しい会話も、旅のお土産になります。
帰宅までお酒を待ちきれない人は、手軽に食べれる漬物や塩辛などを買って、帰りの列車の中で一杯楽しんではいかがでしょう。
早朝、駅に到着した方は、まずはあったかい駅蕎麦で体を温めませんか。蔵元のある土地、いわゆる酒どころには「蕎麦どころ」が多いもの。ちょっとだけ“燗の地酒を一杯”なんて、蔵元見学のプロローグにいかがでしょう。
また東北地方のJR駅には、ユニークな「ダルマストーブの待合室」や「駅温泉」がいくつかあります。
ポカポカの暖をとって準備万端! さあ、いよいよ蔵元見学です。
見学を申し込んだ時刻の10分前には、蔵へ到着しましょう。
まずは受付へ、必ず蔵元からの注意事項や説明を守って、見学をスタート。
いきなり蔵へ入ることは少なく、まずは蔵元の外観や建物、環境や立地などを解説してくれるでしょう。
古い佇まいを残す蔵元の店先は旧・街道沿いにあることが多く、石碑なども見れるはず。近代的な工場の屋上からは、雪の町並みを望ませてくれるかもしれません。
ただし、雪国の蔵元では、解けた雪の落下に注意しましょう。時にはツララなども落ちてきたりしますから、帽子を被って見学することをオススメします。
蔵元見学の記念撮影スポットなら、まずは玄関に下がる酒林(杉玉)の下。
酒蔵の目印であり、「新酒ができたよ!」というマークですね。
次は、巨大な酒貯蔵タンクの前でしょう。日常でお目にかかることのない圧巻のスケールです。また、明治時代に使っていた大きな酒の甕、昭和初期の杉の桶や樽なども、ムードたっぷりの被写体になります。
当主のお屋敷の玄関先や庭園を見学できる蔵元もあります。そこでは、樹齢数百年の欅や杉の御神木を背景にすることもできるでしょう。
蔵元の命と言っても過言ではないのが、「酒の仕込み水」。多くの蔵元では、代々にわたって、地元の地下水や天然の湧き水を使っています。
この清冽な水を、町の人々や観光客の方々にも飲んでもらおうと、一般に公開している蔵元もたくさんあります。
蔵の玄関や工場の入り口などに、清潔な湧き出し口を整えていて、ペットボトルで汲む方の姿も多く見られます。
この仕込み水を飲んでみるのも、蔵元見学の目的の一つ。お昼の食事用に小さなペットボトルに水を入れて、バッグの中へ。そんな遊び心も楽しいですね。
酒を造る蔵の中には、どこも酒の神様「松尾神社」を祀っていますが、蔵元の敷地や庭には、それとは別に、鎮守神や祠、水神様が建ててあったりします。
これは、神様に奉じる神聖な御神酒をその蔵元が司ってきたということの証し。せっかく、そんな由緒ある蔵元に来たのなら、神前に手を合わせてみませんか。スッキリとすがすがしい気持ちになって、お酒もさらに美味しく感じることでしょう。
蔵元の創業は、平均して明治年代が多いようです。ですから、少なくとも今から100年以上経っているわけです。
いくつかの蔵元では、土蔵や屋敷を改修し、記念館、ギャラリーとして長い歴史の中で使われてきた酒造道具や生活用品などを公開しています。そんな空間には、蔵元のご先祖と親睦を持った芸術家、文豪の作品がコレクションされていたりと、珍品、貴品のお宝を探ることもできるでしょう。
日本酒の神様「松尾神社」は、神話の時代から酒造りの神として崇められ、京都や出雲には大社もあります。全国の蔵元では、この神様の御霊を酒蔵の中に奉り、日々の仕事始めや終りに拝礼しています。
そんなふうに神聖に清められた蔵に入るわけですから、見学者もまず松尾神社に手を合わせるのが礼儀ですね。
蔵元も、気持ち良く案内してくれるでしょう。
蔵の中では、杜氏や蔵人が忙しく働いています。真剣なまなざしと作業に、声をかけるのを少しためらいますが、手が空いた時を見つけて、「ちょっとお話ししていいですか?」と声をかけてみましょう。
照れ屋で口下手な方もいますが、蔵人は酒造りの質問に丁寧に答えてくれるはず。素朴な地元のお国言葉も、風情があっていいものです。
憧れの名人杜氏に会えるのなら、サイン用の色紙を忘れずに持参しましょう。
酒造りの説明は、まずは、材料である酒米から始まります。その時は、磨かれて小さくなった米粒を見せてくれるでしょう。米粒の大きさはいろいろで、精米歩合70%、50%、30%などの見本を置いている場合があります。
仁丹のように小さな大吟醸の米粒に、きっと驚くことでしょう。
また、自社で精米している蔵元は、削った米ヌカを使った石鹸や化粧水などを商品化している場合がありますから、訊ねてみましょう。
酒造りの現場には、華やかで甘いモロミの匂いが漂っています。これは仕込みタンクの中のアルコール発酵によって炭酸ガスが発生し、蔵に広がっているからです。そんなタンクを見学し、匂いをかがせてくれたり、モロミを柄杓ですくって飲ませてくれることもあります。
ただし、絶対にタンクに首を突っ込んではいけません。炭酸ガスによって窒息し、事故につながることもあるからです。
ほかに、栗のような味がする米麹、蒸した酒米で造る「ひねり餅」を味見できるかもしれません。
明治時代や大正時代の土蔵を、今も酒造りに使っている蔵元がたくさんあります。
そんな蔵の土壁や木の床はとっても温かな感触で、ノスタルジックな雰囲気を創り出しています。ひんやりとした壁や柱をさわってみれば、忘れていた懐かしい感触が甦るはずです。
雪国の酒蔵は、降り積もる雪の重みに耐える強度が必要で、その大きな屋根を支えている太い柱や梁は、現在の建築に見ることができない希少な構造なのです。
酒を搾る方法には、1.昔ながらの佐瀬式の槽(ふね)、2.空気圧で搾る蛇腹型の薮田式、そして3.最高級の大吟醸などに使うしずく搾り(袋吊り)があります。
一般的に見学者には2.を見せることが多いようです。そして、ふな口から出てきたばかりの原酒を飲ませてくれるはず。
フレッシュで華やかな香り、黄色がかった無濾過の色合い、ピリピリとした酸と甘い味。「これぞ、本場の醍醐味!」と、蔵元見学が最高潮に達する瞬間です。
また、搾った後なら、板状になった酒粕を剥がすシーンを見れるでしょう。「食べてみる?」と、蔵人がヒトカケくれるかも。
蔵元の販売コーナーには、せっかく来てくれた方のためにと、いろいろな限定品を揃えています。
この時期しか売っていない新酒や生原酒は、必ず買って帰りたい一品です。瓶詰めやペットボトルに入った天然の仕込み水も見逃せないグッズ。美味しい水をチェイサーにして美酒を飲めば、とってもヘルシー。最高の「和らぎ水」になるでしょう。
また、お土産用、プレゼント用などに、あなただけのオリジナルラベルを作って、クール便で郵送してくれる蔵元もあります。
蔵元には、出来立ての酒と地元の味を楽しめる料理店を併設しているケースがあります。蔵元見学の終了時や休憩時に、食事を楽しんでみましょう。
搾ったばかりの酒をすぐに運んでいるので、鮮度抜群。地元の旬の素材を使った料理と美酒で、地産地消を味わうことができるのです。
また、町中にも蔵元直営の料理店、オススメの店があるかもしれませんから、受付の方に訊ねてみましょう。