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「純米大吟醸原酒」とは、一言で言うと「米だけで造った大吟醸の原酒」で、たいへん贅沢な造りの日本酒です。50%以上精米した酒米と米麹だけを用いて、醸造の際にアルコールの添加もせず、加水調整もしないで製品化します。酒米由来の味わいと香りを十分に愉しむことが出来ますので、合わせるお料理にも少々こだわってみたいものです。
また、氷を入れて原酒ロックで楽しむのはいかがでしょうか。
今回の地酒は「純米大吟醸原酒」、今月はイチノイチノイチの料理長倉田さんの料理とお酒のこだわりを紹介します。
純米大吟醸原酒は、米のうまみを最大限に生かした日本酒。蔵元の心意気が詰まった贅沢なお酒のため、ふだん気軽に飲むというよりは、慶事にふさわしいお酒といわれています。春の訪れに合わせて、そんな極上のお酒を味わうならば、ということで、料理長の倉田さんにお酒と料理の楽しみ方を伺いました。「こだわりをもって作られた日本酒なので、まず心がけたいのがお酒の風味を損なう料理は合わせないということ。味の濃いものや脂っこいものではなく、素材の持ち味を生かした料理がおすすめです」。
一口に純米大吟醸原酒といっても、その味わいは蔵元ごとに異なり、一般にイメージする華やかで濃い味わいのものだけでなく、さっぱりとした味のものもあるのだとか。「だから、一概にどんな料理が合うとは言えないのですが、強いていうならちょっといい素材を選び、シンプルに調理した料理がおすすめです。家でなら厚切りにしたベーコンをソテーしたものや、メバルの塩焼きや煮つけ、店頭に並び始めたばかりの野菜をさっとゆでたものも、なかなかいい肴になりますよ」。旅立ち、出会いなど、春は人生の節目を迎える季節。その門出を祝う席で、この特別なお酒を存分に味わって。

噛むほどにじんわりとうまみが出てくる鴨肉。そこに行きつくためには、やはり手間と時間が必要です。京都・石野の白味噌、みりん、酒、にんにくなどを混ぜた特製の合わせ味噌に合鴨を漬けること丸2日。うまみが肉にしっかりと馴染んだら、あとは炭火でさっと炙れば完成。肉がほどよくしまり、味が濃縮されます。漬けたみそをさらに塗り、野菜を巻いて食べればお酒が進む味わいに。しっかりとした日本酒によく合います。

身が柔らかくて甘みがあり、ほどよく脂がのったのどぐろ。こちらは鳥取県産の良質なものを使い、一夜干しにしています。昆布を入れた塩水に背開きにしたのどぐろをしばらく漬けることで、うまみが凝縮されて塩が入ります。これを一晩干すことで、水分が抜けすぎず、ほどよい塩加減の一夜干しになるのです。すだちをギュっと絞れば、さわやかな香りと酸味が加わって、日本酒がこのうえなくすすむ味になります。

新鮮な野菜は、みずみずしく力強さがあり、それだけで立派な一品になります。こちらは讃岐のめざめといわれる、甘くて太いグリーンアスパラガス、苦味が少ない徳島県産の菜の花、珍しい千葉県産の黒大根を盛り合わせたせいろ料理。それぞれ生でも食べられる鮮度の高いものを、卓上でさっと蒸します。すると途端に甘みが増して、驚きのおいしさに。自家製マヨネーズとともにシャキシャキ、パリパリさせながらいただいて。

19歳で料理人を目指し、カフェ、居酒屋、無国籍料理、イタリアン、和食、洋食などあらゆるジャンルの料理人を経験。和食の真髄を極めるため、東京の店で働きながら京都の料亭に約5年通って料理修業。その向上心は留まることを知りません。「日本橋は新しい物事の発信地として栄えた歴史ある町。その伝統は今も息づいています。自分も新しいおいしさを発信し、この町のイメージを裏切らないように常に挑戦していきたいですね」。慣習にとらわれず、新しいものを取り入れて発信していくのがこの町の伝統。その心意気をぜひ味わって。
※歳時記で紹介している"肴"と"地酒"は期間中のみニホンバシイチノイチノイチで味わえます。