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株式会社宮﨑本店 ~水・米・技の紹介

宮﨑本店の日本酒造りは、昭和に入って本格的にスタートしています。その基礎は、南部杜氏と蔵人たちによって確立されました。つまりは「味わいと香りの良さを併せ持つ酒」が特徴のようです。
現在は、杜氏以下6名の社員による製造体制。少数精鋭の人材が、手作業による吟醸造りからハイテクノロジーの本醸造酒・普通 酒造りを担っています。
「私たちは社員として仕込みを任されておりますが、当初は杜氏や頭、麹屋などの蔵人が南部から出稼ぎでいらしてました。現在は、川村金一郎(かわむら きんいちろう)杜氏だけが酒造りの期間だけ指導にいらしてます」
13年前までは焼酎の蒸留を長年続けていたと言う、小林 徳治(こばやし とくじ)副杜氏。いわば、製造現場の中心を担ってきたオールラウンダーです。
そして、今一人は平成4年(1992)に入社した竹内 剛平(たけうち ごうへい)氏。平成7年に新工場が完成すると、川村杜氏の勧めもあって本格的な日本酒造りに入りました。
以来、麹造りのエキスパートとして活躍しています。
「入社当時は、瓶詰め工場に勤務しました。ようやく酒造りが理論的に分かってきた頃に新工場が誕生して、これは新しい自分のステップ、革新になると思って手を挙げました」
今回は、地元出身の二人に宮﨑本店の酒造りをインタビューすることとなりました。


大人気の“極上宮の雪”は、ほど良い味と香りが特徴の本醸造酒。毎日の食卓に合う、飲みやすい「食中酒」として好評です。
この点も含め、小林 副杜氏は“宮の雪”シリーズのコンセプトを次のように語ります。
「まずは、三重県の人に愛される、三重県らしい日本酒ですね。地元でお酒と言ったら“宮の雪”。ありきたりですが、そんなキャッチフレーズが今こそ大事だと思っています。社長も申されたかと思いますが、三重県は北陸や東北に比べると“酒どころ”“地酒”というイメージが薄い土地柄です。しかし今、地酒ブランドブームが衰える中で、当社は改めて中部や三重地方の人たちに好まれる日本酒を目指しています。

普段地元で飲まれる酒こそ、やはりその土地の水や米、空気の中でしっかり造られるべきだと思うのです。“地産池消”もっと言えば“身土不二(しんどふじ)”につながるお酒。そんな三重県の顔になる、日本酒ですね」
なるほど、その答えにはロマネコンティーを目指す宮﨑本店の地酒イズムが感じられます。

さて、それでは竹内氏に、麹造りについて訊ねてみましょう。
「吟醸酒の麹作業は、杜氏以下6名全員で取りかかります。徹底した24時間体制で、寝ずの番もこなします」
吟醸造りの麹は、自社での高精米、10℃の水による手洗い、ストップウォッチで計る浸漬、甑による蒸し米、もやしとすべて手作業による工程を経て、麹蓋を使ったきめ細かな仕事から生まれます。そこでは、日本酒に新進した蔵元らしからぬ、技の冴えとこだわりを見ることができます。
また、穏やかながら凛とした香りの“宮の雪”は酵母にもこだわりがあると、小林副杜氏は付け加えます。

「酵母は協会酵母だけでなく、自社内での研究・開発も進めています。大学工学部を卒業した技術者が中心ですが、これは先代社長の研究者としての功績であり、当社の大きな柱になっています」

ちなみに宮﨑本店の社員には三重大学OBが多く、これも地元ならではの酒造りに欠かせない要素のようです。

宮﨑本店では、鈴鹿山脈からの伏流水を汲み上げる井戸を3本備えています。水質は、すっきりとした軟水。巨大なタンクへ汲み上げ、濾過をした後に使用しています。
「昔は、楠町一帯で鈴鹿山脈からの地下水を井戸で汲み上げていたようですが、現在は当社だけになりました。源流から地下へ吸い込まれた水は冷たくて清らか、今でも水道水より、ずっとおいしい水ですよ。酒米は五百万石、山田錦が中心ですが、どの米の旨味も十分に引き出し、醸してくれます」
そして、清冽な水を使っているだけに、排水に関しても最新設備で管理しなければいけないと小林副杜氏は続けます。

「法律で規制されているわけではありませんが、当社では仕込んだ際の排水を化学的に完全処理しています。ここまで排水処理にこだわっている蔵元は、少ないのではないでしょうか。きれいな鈴鹿の自然水を使ってきれいな酒を造るだけでなく、きれいな環境を保つことも“三重県の地酒”を自負する企業としての責任だと思います」
なるほど、宮﨑 社長のコアコンピタンスは、鈴鹿の伏流水と同じく社内に深く浸透しているようです。

平成7年に完成した新工場には、最先端の設備と環境が整然と並んでいました。
工場内を歩いてみれば、すべてのスケールが圧巻!巨大なスクリューが回転する醗酵タンクの中では、晩秋の到来とともに“極上宮の雪”がプツプツと息づくことでしょう。

このコンピュータ管理されたフルオートメーションの仕込みは、「姫飯(ひめいい)造り」と名付けられています。
「いわゆる液化した素材での仕込みですが、その原理と工程は吟醸の手造りを応用したものです。麹を水と合わせ、高速回転によって液化し大量に仕込むわけですが、当社ならではの工夫やアイデアも施しています。最新設備によって時間と労力を軽減し、安定した酒質、品温管理が可能になりましたが、それを決断するのは、やはり人の経験と知恵です」
そう教えてくれた竹内 氏に「その工夫とは?」と訊ねれば、小林 副杜氏は「それは秘密です」とニンマリ。どうやら“極上宮の雪”の旨さは、ここに秘訣があるようです。
本格的な仕込みのシーズンが目前に迫り、旧蔵では“吟醸造り”、新工場の“姫飯造り”の準備が始まりました。
鈴鹿川べりに“宮の雪”のほのかな香りが漂う頃、筆者はもう一度、その秘訣を見学に来たいと思います。