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齊藤酒造株式会社 ~水・米・技の紹介

さて、いよいよ日本一の「全国新酒鑑評会12年連続金賞」を成し遂げている、酒造りの達人が登場します。
その人物は、齊藤酒造株式会社の取締役である 藤本 修志 製造部長です。
「昭和24年(1949)、北海道の士別という鄙びた町に生まれました。父の仕事の関係で、幼少の頃に兵庫県の伊丹市へ引っ越したのですよ。父が勤めていたのは酒の醸造に関係する澱粉の製造メーカー。そして、暮らした土地が酒どころの伊丹。ですから、物心つく頃から、清酒にはご縁があったのですよ」
東京農業大学で発酵学・醸造学を専攻し、昭和47年(1972)に伏見のとある蔵元へ就職。季節職人たちの中で揉まれながら技術者として研究・実践を重ね、41歳の平成3年(1991)より齊藤酒造株式会社の酒造りを担うこととなりました

「齊藤酒造は、元々、レギュラー酒が主力の蔵元でした。現社長が就任されてから特定名称酒へ路線を切り変えたのですが、その2年後に、私はお世話になったのです。私自身、普通酒ではない、純米酒あるいは吟醸酒というものを造りたいと切望して入社しました」
確かに、齊藤酒造が全国新酒鑑評会で金賞を受賞しているのは、奇しくも齊藤社長と藤本製造部長がパートナーとなって以来のこと。どうやら、千載一遇の出逢いと言えるようです。

それでは、英勲の酒造りと藤本製造部長のこだわりを、じっくりと語ってもらいましょう。
「まず、何を成すにも良い水が無ければ始まりません。伏見はご存知のように“伏水”が語源で、豊かな水に恵まれています。当社は昭和49年(1974)に蔵をこの地に新築・移転した時から、ずっと同じ地下水を使っています。この水が、上品なキレと旨味の調和した英勲を生み出しています」
鉄、マンガンが少なくて、カルシウム、マグネシウムなどの無機塩が適度にふくまれ、酒造りに格好の水だと藤本製造部長は胸を張ります。
「当社の得意とする純米吟醸などの酒造りは、昔ながらの麹蓋を用いた手法を中心に進められます。それには、この水が最適なのです。米を蒸すだけでなく、洗米や浸漬などの原料処理に不可欠の柔らかな中軟水です」

その水で麹を完璧に仕上げて、すべての工程に最善を尽くせば、お酒はきちんと答えを出してくれると藤本製造部長は語ります。
ところで、大吟醸や純米大吟醸など高級酒造りには、いずこの蔵元も原料米を山田錦に固執する傾向があります。もちろん、齊藤酒造も高精白の山田錦の酒を醸していますが、近年は、ひと味違う個性的な酒造好適米に力を注いでいます。
それが、京都産の米「祝(いわい)」です。

まずは祝のプロフィールを、藤本製造部長に紹介してもらいましょう。
「祝は低蛋白質で、酒造適性が高い米です。だから、吟醸造りに向いているわけです。昭和の初期に生まれた祝は、その後、昭和21年(1946)まで奨励品種だったのですが、戦後の食糧増産のために、収量が少ない祝はしだいに作られなくなりました。その後、何度か再生しようと試みたのですが、稲の背が高く倒れやすいこと、収量が少ないことなどが原因で昭和49年以降は、姿を消してしまいました。しかし昭和63年(1988)、京都府や京都市、伏見酒造組合の働きかけで試験栽培が始まり、平成4年(1992)約20年ぶりに伏見で祝の酒が製品化したのです。

つまり祝は、行政と酒造組合の熱烈なラブコールの中で再生された、京都の酒にふさわしい“地産地消の米”なのです。その時に行政から指名依頼されたのが、当社を含めた2社でした」
その酒は素晴らしい出来栄えで、感動した齊藤社長は「今後は、精力的に祝を使っていきたい」と申し出たそうです。さらに、酒銘に創業者である「井筒屋伊兵衛」の名を冠し、祝の酒造りを永続させることを宣言したのです。
祝の名も京都らしく、味はまろやかで繊細とのこと。
それにしても背丈は高く山田錦をしのぎ、雄町米にも引けを取らないほどの長身。これを育てる農家の苦労に、頭が下がる思いです。

祝は山田錦と比べて心白が大きく、原料処理が難しい。特に吸水のポイントが、シビアだと藤本製造部長は言います。
「祝は吸水性が非常に良いので、洗米や浸漬の時間にナーヴァスにならざるを得ないのです。それは“突き破精(はぜ)”の麹を得るための絶対条件。米が水を吸い過ぎると蒸米が柔らかくなり、麹になっても水分が多いため、蒸米の表面だけに破精が廻る“塗破精(ぬりはぜ)”や全体に破精込みの深い“総破精(そうはぜ)”になってしまいます。祝は油断するとどっちかに転んでしまい、突き破精にできない難しさがあるのです。しかし、吸水のポイントを的確に捉えれば、本当に吟醸造りに適した香りの高い麹になって、お酒の味もふくらみのある口当たりになってくれるんですよ」
手なずけるまでは至難の業が必要ですが、コツが分かってくれば最高の答えを出してくれる米だと、藤本製造部長は祝を絶賛します。
翻せば、それほどてこずる米だから普及が難しいわけで、祝の総収穫量の約半分近くを齊藤酒造が扱っている理由に、藤本製造部長の名人技を確信してしまうのです。

そして締めくくりに、藤本製造部長から驚きのメッセージを頂きました。
「今年の全国新酒鑑評会は、祝でチャレンジします。行政から“13年連続金賞の節目は、ぜひとも祝で!”と依頼されまして、いささか悩んだのですが覚悟を決めました」
はにかむ藤本製造部長ですが、その腕前に13年連続金賞を大いに期待し、インタビューを終えることにしましょう。