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白鷹株式会社 ~蔵主紹介

灘の酒といえば「宮水」あってこそ、その絶品の味が好まれてきました。
その天恵の酒造用水にも、これまで2度の危機があったことは意外に知られていません。
最初は明治末年から大正初年における、西宮港の改修工事。掘削工事のせいで水質が悪化したため、それまでの井戸場より東北に取水口を移すことになりました。
2度目は昭和9年(1934)秋の室戸台風。この地を未曾有の高潮が襲い、ために宮水の塩分が増大、さらに北部へと井戸場を移さざるを得ませんでした。
このため最初の宮水地帯は、現在地(久保町、石在町)より西南に200~300mの浜町、鞍掛町辺りにあったということですが、この第1次危機に際して白鷹の初代・悦蔵にまつわるエピソードを、故 辰馬寛男 四代目社長が語ってくれます。

「当時、すでに初代・悦蔵は隠居していましたが、ある日、港の辺りに散歩に出ると、船着場の底を、工事人夫たちがやたらと浚っている光景が目に飛び込んできました。『そんなに掘ったら、宮水が辛うなり過ぎる。掘るにしても、もっと方法があるやろ。石垣にしても、土の中に深うはめ込んどかんと、潮が射してきたらどないすんねん』と、それを指図した同業仲間に注意を促したのですがラチがあきません。結局、悦蔵の危惧をよそ目に、工事は設計通 りに進んでしまいました。しかし改修工事が終わってしばらくすると、あちこちから『どうも、宮水がおかしい』という声が上がります。悦蔵の予感が、的中してしまったのです」
その後になって、「辰馬のご隠居のおしゃる通りやった。あの時、設計変更の運動に真剣に取り組むべきやったんや」と同業者たちは口を揃えた、故 辰馬寛男はそう言います。
真剣に宮水を守ろうとした悦蔵の執念、その姿勢を、白鷹は今も鑑にしなければと肝に銘じているそうです。

さて、その悦蔵が「白鷹」を創業したのが文久2年(1862)。灘では後発組ということもあってか、彼は当初から“超一流主義”“品質第一主義”を標榜します。この志を表現するのが、創業以来の社訓ともなっている次の「史記」にある一句です。

桃季不言、下自成蹊 桃季言わざれども、下おのずから蹊(みち)をなす

「これは、モモやスモモは花も実も美しいので、自然と多くの人が集い、その木の下には、いつしか道ができるものだという意味です。つまり酒質にこだわり続ければ、おのずとお客様はついて下さるとの悦蔵の遺訓を、今に至るも、当社は厳守し続けております」
その詩の意味を解説する故 辰馬寛男は、さらに、こんな話も披露してくれました。
現在も取引を頂いている大阪屈指の老舗料亭の女将が、ある時、当社を訪ねていらしゃいました。

何か不具合でもと緊張しておりますと、 「普通なら樽詰め酒というのは、徳利で残り30本くらいになると、まずくなって、とてもお客様には出せなくなるのです。でも、白鷹さんのお酒は最後まで味が落ちないんですね。どうしてなんでしょう?」
何とも、嬉しいお訊ねでした。
答えは簡単です。当社では、樽を洗うのに、水ではなく酒で洗うからです。
この作業は“樽ふり”と呼ばれ、酒で樽ふりをするために使用する酒量は、この当時で年間に約12,000本(1升瓶換算)。それだけの酒を、酒質を守るために費やしていたのですが、この酒による樽ふりを社命として守らせ続けたのも、初代・悦蔵でした。

このように酒質を最大の誇りとする白鷹では、自社の蔵だけで造った“生一本”の酒にしかラベルを張りません。
つまり他のメーカーで造られた酒を買い、これを適当にブレンドして自社製品にするという、いわゆる“桶買い”は一切存在しないのです。
酒蔵として当然といえば至極当然なのですが、それが白鷹の“生粋の灘酒”と評価されるゆえんでしょう。そんな哲理と宮水を守り、灘酒の伝統文化を次代に伝えようと、四代目社長 故 辰馬寛男(1929-2003)、本社前の敷地に、多機能施設「白鷹禄水苑」を開設しました。

ここには7つ施設が併設され、昔ながらの灘の酒造りの道具が展示されているほか、白鷹・辰馬家に伝わる家蔵品や生活道具などもあり、戦前の造り酒屋の暮らしぶりが偲ばれます。
さらには鰻料理の老舗「東京竹葉亭」のほか、酒バー、ショップ、茶室、多目的スペースなどがあり、ここだけでしか味わえない白鷹限定ブランドも楽しめるという趣向です。
灘の酒と文化を守り伝え、語り育むここは、白鷹ファンにとって垂涎の空間を創り出していることでしょう。