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田村酒造場 ~水・米・技の紹介

まぼろしの酒 嘉泉は、南部 杜氏流で仕込まれた酒。キレの良い口当たりとともに、米の旨さと芳わしい酵母の香りが調和した味わいが自慢です。
その美味なるしずくを醸し出している人が、弱冠33歳(平成10年)で、杜氏に抜擢された高橋 雅幸 氏です。
「国立市の出身です。酒造りの世界に入ったきっかけは、父の実家が福島県で酒販店をしていまして、日本酒を身近に感じていたことです。店の主である叔父や国税局に勤める叔父の影響もありますが、高校生の時に当社の田村 半十郎 社長にお目にかかる機会があって、お世話になることにしました。家系的に言えば、酒を売る人、酒税を扱う人がいて、私が酒を造る人になったことで、三拍子揃ったわけです(笑)」
まさに、杜氏は彼の天職だったのでしょう。18歳で入社後、まずは瓶詰め工場や配達業務などで下積み生活。5年間みっちりと“造り酒屋とは、なんぞや”を学んだそうです。
そして、今年45歳、杜氏としても腕に磨きがかかり、脂の乗ってきた彼に、田村酒造場の酒造りをインタビューしました。

「蔵に入った当時は、まだ南部からいらした季節の蔵人による酒造りでした。ですから、徒弟制度の中に、私だけが社員として入ったわけです。職人の世界ですから、当然、酒造りは教えてくれませんし、自分で習得するしかありません。最初は水仕事ばかりで、なかなか現場に立たせてもらうこともかないませんでしたから、けっこう大変でした」

先代の杜氏からは基本的なアドバイスがあるものの、老練な蔵人たちは、ほとんど単純な手伝いを与えるだけ。そんな日々が3年続き、高橋 杜氏は、このままでは、酒造りの“さ”の字も分からないままと不安に駆られたそうです。
「しかし、今にしてみれば、あの経験が良かったと思います。辛さもありましたが、現代の職場では味わえない貴重な時間でした。その後、社員蔵人が少しずつ増えてきまして、ようやく若手を育てる意識が広がってきました。蔵の雰囲気が変わったのは、田村専務(現、社長)が設備をガラリと一新した時です。それは、誰にでも分かり良い酒造りと品質管理のための改善でした」
以来、高橋 杜氏と旧来の職人との溝が埋まることになったのです。

若き高橋氏は、水を得た魚のように酒造りに没頭します。そして、平成10年(1998)には、みごと南部杜氏の試験に合格。おりしも、翌年の秋には先代杜氏が退任することとなり、鑑評会の出品酒を仕込むという重責を担うことになりました。
いきなり珠玉の大吟醸を造ることから、高橋 杜氏の新たな道がスタートしたわけです。
そんな彼に、今、田村酒造場がモットーとしている酒を訊いてみましょう。
「目指している酒は、淡麗ではなく濃醇なタイプですね。元々、当社の酒は、やや辛口の酒だったのですが、年々更に辛くなってきていました。すると、どうしても淡麗になりがちなので、味を残しながら辛さとのバランスを保つことを重視しています」

甘くならないように、日本酒度+4~+5あたりを意識しつつ、原料や酵母の特性を見極めながら調整することを旨としていると、高橋 杜氏は語ります。
「当社の酒は昔から淡麗ではないので、そこは曲げられない基本です。そして中吟以上のクラスは、おしなべて香りを高めにしてます。オリジナルの自社酵母も使っていまして、これはとても香りが立ちます。他社商品との差別化も意識して、そんな系統を使っています」
高橋 杜氏自らが開発した酵母もあるそうで、普通酒も含め、香りにこだわるのは田村酒造場の個性と言えそうです。

さて、仕込み水について語ってもらいましょう。
「中硬水です。どちらかと言えば春先向きの水ですから、そこに気をつけて、搾ってからの処理にもこだわってます。特定名称酒の場合、当社では搾って1~2週間の内に、-5℃の冷蔵庫に保存します。ですから穏やかに熟成して、秋口にはふくよかな味に変化します」
高橋 杜氏が、その水によく合う米と言うのは岩手県産の「吟ぎんが」。東京都内の蔵元では、田村酒造場だけが使用しているそうです。やはり南部杜氏だけに、地元の酒造好適米で仕込みたかったと高橋 杜氏は言います。

「杜氏になった頃、岩手に行って地元の米をいろいろ勉強してきました。その時、新しく開発されたばかりの吟ぎんがと出逢ったのです。当社の酵母に合致して、香りと味のバランスが上々なので、今では柱の米になりました。ほかに、上質の五百万石もいい感じですね」
高橋 杜氏の造った五百万石の純米吟醸を試飲してみると、確かに、上品な香りの中にも、米の旨味がじっくりと味わえました。

今の課題として、いろいろな原料や酵母を使ってみたいと高橋 杜氏は語ります。
新たな試作酒や異なる品質の製品へチャレンジするわけですが、そのポイントを、高橋 杜氏は次なる酒造好適米探しに置いています。
「ここ数年は、全国各地で上質の米が開発されています。東北地方は、特に顕著ですね。そんな中には、県外へ出されていない品種もありますから、それを調査して、テストしてみたいと思います。良い結果が出れば、また個性的な商品が生まれて、差別化が図れると思います」
そんな新たな構想や試行に、田村酒造場は前向きに取り組む会社だと高橋 杜氏は胸を張ります。田村社長に相談すれば、機を逃さず、GOサインが出されるケースがほとんどだと言います。
いよいよ酒造りも本番!次なる高橋 杜氏の“まぼろしの酒”に期待しつつ、新酒の完成を心待ちにすることとしましょう。