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黒澤酒造株式会社 ~蔵主紹介

「長野の蔵元数は約90醸で、佐久地方には13社があります。今の市場動向から見ますと、いずこもますます過当競争に揉まれ、安閑とはしていられません。改めて初心に戻り、南佐久の酒蔵として培ってきた日進月歩の努力を見直す時ですね。私が蔵へ入った時代とは、雲泥の差の日本酒市場になりました」
そう話し始める黒澤一雄会長に、いつ頃のことですかと訊き返すと、「当年とって72歳です。大学を出てすぐ戻りましたので46年ほど前ですね。高度経済成長期真っ只中です。日本酒も造れば売れる時代でしたし、私も営業をしながら、やり甲斐を感じましたね」と頬をゆるめます。

一雄氏は、東京の大学を卒業するやいなや実家に呼び戻されます。他人の飯を食わず家業へ就くことには、いささか抵抗があったそうです。しかし、父親の従兄弟である専務からは「俺が、徹底的にお前を仕込んでやる!だから安心して帰って来い」と叱咤激励され、戸惑いつつも東京を後にしたそうです。
噂にたがわぬ鬼専務に鞭打たれながら、若き一雄氏は、営業の醍醐味を味わいます。同行販売や置き回りスタイルが主流のその頃、一升瓶10本入りの木箱をトラックに積んで埼玉県周辺の卸問屋・小売店を巡れば、1日150箱が空になる時代でした。

一足飛びに石高も急伸し、黒澤酒造始まって以来の最盛期を迎えたわけです。
今のように特定名称酒が云々とか、精白がどうとかの嗜好もない時代。使う米量の換算さえすれば、後は杜氏任せの時代であったと黒澤会長は振り返ります。

今、中小の蔵元が抱えている課題は、一つは「どうすれば、特定名称酒のニッチマーケットを創れるのか」、二つめは「ファンのネットワークの作り方」と黒澤会長は指摘します。
黒澤酒造が造った特定名称酒第1号は、昭和48年(1973)に発売した「米だけの酒」。不景気によって向かい風となったレギュラー酒需要に、一石を投じた新商品でした。
そして地酒ブームが到来し、このジャンルへの取り組みは黒澤酒造の確固とした路線となります。現在は「雪国」などのPB酒も含め、特筆的な味わいを次々と醸しています。

「いずれにしても、これからは各日本酒ごとに需要のプレースメントを作っていかねばなりません。つまりは新しいニーズ探しですね。精白を上げた特別純米・特別本醸造などで、料理との楽しみも増やしていければと思います。実は、私の知人に大手航空会社の人物がおりまして、16年前に米国への商品リリースを提案されました。これが結構当たりまして、今では国内シェアの補填となっています。自他ともに、これからは海外の食文化にも目を向けていくことですね」

黒澤会長が解説するその酒の銘柄は、ひらがなで「くろさわ」。あの日本人唯一のアカデミー賞監督を思い起こさせます。
なるほどアイデア的にも、これなら米国でも目を引きましょう。さらに、手間ひまのかかる生酛純米仕込みで、日本酒に慣れ親しんでいない米国人の嗜好に好印象を与えることができたようです。来年度の需要も上潮傾向、仕込みはこれからとか。

さて、黒澤酒造の主要シェアーとしては、長野県内が7割、関東を中心とする全国供給が3割となっています。今後も足元を固めた堅実な経営で、新たな戦略を立てていこうとしています。
そのひとつに先述の「ファンのネットワーク作り」を掲げています。

平成5年(1993)年、黒澤酒造は150年前の創業時の酒蔵を修復、「ギャラリー黒澤」としてオープンしました。ここは利き酒ショップだけでなく、芸術公開、アートの個展、演劇、コンサートなど、佐久穂町の文化振興と交流の場としても幅広く活用されています。毎年約1万人の訪問者を迎え、展示スペースは誰にでも無料提供。ほぼ毎月2件のペースで公開されているそうです。

「単なるアンテナショップには、したくありません。だからと言って、重々しい雰囲気でもいけませんね。八千穂の自然と文化に黒澤酒造がマッチして、いつでもファンの方が気楽に集まって頂けるような空間にしたいのです」
黒澤会長が案内するギャラリーには、佐久穂町の四季折々の風景写真などが展示され、その趣旨をよく理解できます。趣のある古い壁や重厚な梁、静かなギャラリー、そして極上の日本酒が黒澤酒造ファンを迎えています。

さらに、長男の黒澤孝夫社長の発想によるファンの会「美醸会」もスタート。これは米作りから酒造りまでを楽しんでもらう、新酒のオーナーシステムです。
これらの新しい展開も含め、次代の経営は現常務の長男と国税庁醸造試験場で修行した次男に任せたいとのこと(→2009年から会長次男の洋平氏が杜氏、2013年から長男の孝夫氏が社長となりました)。兄弟で励む「店番と蔵番の二人三脚」は、黒澤会長と実弟の黒澤恒夫元専務とのコンビでも立証済みです。

佐久穂町に息づいてきた黒澤酒造代々のきずなこそ、「南佐久の酒蔵として培った日進月歩の努力」に欠かせないものでしょう。