
三重県の顔となる、普段の食卓で飲まれるうまい酒造りを!
南部杜氏を招いての酒造りが主だった昭和期から現在では社員杜氏による小仕込みの酒蔵へと進化し続けておりますのが宮﨑本店の清酒宮の雪です。冬場に吹き荒れる鈴鹿山系から冷涼で澄んだ自然環境と軟らかな味わいを生み出す鈴鹿川の天然伏流水を仕込水に日本酒を醸して参りました。

古くからある黒壁の酒蔵の中に立つ機能的な建物は、より品質の高い商品を小ロットでの生産を実現し、お客様へよりよい清酒宮の雪をお届けすることに重きを置き、2018年に新工場として立ち上げました。

日本酒造りの工程は昔から基本的に変わっていません。変化を問われるのは、時代に応じた造り手の姿勢。 3階建ての新工場の最上階では自社で精米した米を洗い、蒸し上げるまでの作業が行われます。水は鈴鹿山脈がもたらす伏流水。宮崎本店の酒造りを支えてきたまろやかで良質な水です。徹底的に磨かれた米は、水に浸す時間も秒単位で調整されます。その判断を下すのが酒造りの責任者である杜氏です。
米の種類や状態、気温や湿度などに影響され、酒造りに同じ繰り返しはありません。それぞれの工程で丁寧に米や麹と向き合い、より良い酒造りを追求しようとする姿勢が、このコンパクトな酒蔵を生みました。2階では必要な量の蒸米が麹室へ運ばれ、テーブルに広げられます。ここから大切なのが、温度と湿度の管理です。蒸米が適温になるまで根気よく舞った後、杜氏が種麹をふりかけます。翌日一昼夜寝かせて麹菌を繁殖させた米を箱に薄くならし乾燥棚に移します。麹の状態は常にデータ管理されています。杜氏はその状態を把握し、必要に応じて作業を見直すなどの方針を提示します。酒の味は麹を育てるこの乾燥工程で決まると言っても過言ではありません。そのため、新しい酒蔵には自動化された最新の乾燥棚とは別に。昔ながらのやり方で、米を自然に乾燥させ、麹を育てる部屋も設けています。ほどよく湿気を吸収する木の壁に囲まれながら、杜氏は米に手を入れ、麹の育成を決定づける温度と湿度を注意深く調整します。別の一室では酒母造りが始まり、文字通り酒の母体となるもの。水・麹・酵母・さらに蒸米が加えられ、室温管理された部屋でおよそ10日をかけて熟成します。出来上がった酒母は1階にある仕込み用の大きなタンクに麹や水とともに移され、もろみとなります。放冷機で冷まされた蒸し米が最上階の3階から送られ、初めての投入を初添え、一日おいた2回目を中添え、その翌日、3回目を留添えと8、いわゆる三段仕込みを行っています。タンクは魔法瓶のような構造で、不凍液が巡り、常に温度管理をしています。タンクの中は毎日攪拌をし、醗酵状態を確認します。サンプルを分析し記録をとります。最新設備と人の目・人の技に見守られながら、もろみは3、4週間かけてゆっくり醗酵していきます。
酒蔵を新しくした結果、一度の仕込み量はそれまでの1/10程度になりました。一見、非効率に思える選択、でもそれは、品質本位の宮崎本店にとって必然でした。綺麗で飲みやすいと称えられる清酒宮の雪はこうしてここから生まれています。