水・米・技の紹介

菊水酒造株式会社

安全・安心を徹底し、”より良い酒”でくらしを豊かにする

安全・安心を徹底し、”より良い酒”でくらしを豊かにする

菊水ブランドを代表する商品と言えば、ロングランの人気商品「ふなぐち菊水一番しぼり」です。
業界の魁として発売されたアルミ缶入りの生酒は、40年以上を経た今日もヒットを続け、「生原酒」「熟成酒」「新米新酒(期間限定品)」の3種が全国の菊水ファンに愛飲されています。
まずは、この画期的な商品が誕生したきっかけを、菊水酒造株式会社の、若月 仁 取締役に訊ねてみました。

「ふなぐち菊水一番しぼりの誕生には、当社のモットーである“お客様第一主義”が生きています。
ある日、蔵見学へ訪れたお客様に搾り立ての原酒を振る舞ったのですが、その途端、口々に『うまい!』と感嘆のお声が上がり、皆様、満面の笑みを浮かべて下さったのです。お客様は痛く感激され、『この生酒が、いつでも飲めれば嬉しいね』と切望されました。しかしながら、生酒はデリケートな品質。劣化・腐敗の可能性が高いために、製品化した後も温度管理は欠かせません。また紫外線を嫌うので、容器にも課題を抱えていました。それでも、こんなに喜んで下さるのだから手を尽くして商品化しようじゃないかと、当時の高澤 英介 社長(現会長)がリーダーになりまして社員一丸となって苦心を重ねたのです。そして3年後の昭和47年秋に、商品化することができました」
その当時、若月 取締役は14歳の少年時代。しかし、父親や親戚など大人たちが舌鼓を打つ缶入りの“ふなぐち菊水一番しぼり”に目を瞠り、興味津々だったそうです。

ふなぐち菊水一番しぼり
若月 仁取締役

若月 取締役は、昭和33年(1958)新発田市の出身。酒造り一筋に32年間を歩んできた、菊水酒造生え抜きのリーダーです。
「夏はバイクツーリングを楽しみ、冬は日本酒をひたすら愛する」が趣味とのこと。
さっそく菊水酒造の酒造りと環境について、語ってもらいましょう。
「当社は、酒造りの伝統や因習にとらわれることなく、お客様に喜んで頂ける商品を積極的に開発しています。早くから旧来の杜氏制による酒造りを廃止し、生産部の社員すべてが公開・共有できる職場を作り上げました。したがって、酒造りの要諦を教え込み、その上で誰もが一定品質の酒を造れるようにシステム化しています。

例えば、菊水酒造では自家精米が減っていく中で、他の蔵に先駆けて精米に集中コントロールシステムを採用しました。これにより、入荷した原料米のトレーサビリティが可能になっています。節五郎蔵は、あくまで人と自然の力を重視した研究機関的な酒蔵です。ここでは特別な技術を駆使したり、新しい試みの酒造りに挑戦することが可能です。そして、若い社員の経験やスキルを向上させることも目的の一つです」
その根底には、創業者・高澤 節五郎の精神が脈々と受け継がれ、1世紀以上にわたる歴史に培われた知恵と技術、そして最先端の生産環境を融合させることで、よりお客様の満足を創ることができると、若月 取締役は述べます。

節五郎蔵の麹室

お客様のより良いくらしのために、菊水酒造では今改めて、若月 取締役が中心となって業界的な課題に取り組んでいます。
それは、食の「安全・安心」に対する再認識と、日本酒にまつわるさまざまな事象を考証していくことです。つまり製品管理についてのコンプライアンス(法令遵守)、品質表示のトレーサビリティなど、これまで日本酒業界では通念とされてきた点を見直し、菊水酒造としてのルール制定と遵守、その情報を公開しています。
「近年、食の安全・安心が重視されていますが、日本酒の製造や製品についてはどうなのでしょう。長年業界内で素通しされてきたことでも、お客様にとっては曖昧模糊とした点があるのではないか?果たして、それは正しいのか?アルコール飲料だから通常の食品よりも安心だなどと高を括っていてはいけません。あらゆる生活商品に対して、仔細な情報開示と信用調査が求められるのは当然となった今だからこそ、“梨下に冠を正す”のではなく、当社が永年ひたむきに続けてきた正しい酒造りの道をご説明したいと思っています。」
これまでも菊水酒造は、食の安全・安心に徹底してこだわってきました。
入荷した原料米は、すべてにおいてカドミウムの含有量を測定し、国際基準以下であることを確認しており、製造工程にも厳しい衛生管理基準値を設定しています。
しかし、生活者が求める良質の酒には、これまで以上に仔細な商品情報と品質保証が必要になってくると若月 取締役は語ります。

安全・安心の再認識を
安全・安心の再認識を

高澤 社長と同様、顧客第一の精神で酒を醸す若月 取締役は、“より良い酒”とはどのような存在と考えているのかを最後に訊ねてみました。
「美味しい酒とか、うまい酒とか、それは品質や技術だけで判断されるものではないと思うのです。いつ、誰と、どこで、どのように飲み、楽しみ、喜びを味えるか。これに、いつでも応えられる魅力を持った酒が“より良い酒”の基本でしょう。とっておきの人との一杯、仲間と和む宴会、家族と語り合う晩酌と、数限りない酒シーンが人生にはあります。そんな場面にフィットするのは、酒の味や品質だけではないですね。あれこれと飲み比べたい人や量が必要ではない方には、少量の容器に入った酒。瓶の色や形にこだわる方には、個性的なボトルやラベルというように、いろいろな切り口が考えられます。お客様のニーズを多角的なアングルで見つめることに、“より良い酒”のヒントは隠されていると思うのです」
日本酒は、菊水酒造というメーカーのツールである。これを駆使して、お客様の幸せを創造していくことが私たちの使命と胸を張る若月 取締役。その言葉通り、新・生活酒をテーマにした新商品開発も進んでいるそうです。
その新たな一杯を、心待ちにすることとしましょう。

小容量は”より良いサイズ”
ニーズを、多角的に見つめる